さいとう農園 中井 康宣さん 大阪府箕面市出身。大学院まで知的財産について学んでいたが、デスクワークよりも農業に興味を持ち、卒業後は群馬県の農家で就農。通年栽培できる場所に移転を考え、2016年に多古町に移住。さいとう農園に入社。 詳しく見る
Profile
年間通じて野菜が作れる、安定した気候を求めて多古町へ
多古町に移住したのはなぜですか?
農業で生きていこうと決意し、最初に就職したのは、群馬県長野原町のレタス農家でした。自然農法に取り組み、美味しいレタスやキャベツ、トウモロコシを作っていました。学ぶことも多かったんですが、標高が高く、冬は1~2mも雪が積もるので、その間は野菜が作れません。通年で農業ができる地域に移りたいと思い、インターネットで移住先を調べました。
そこで見つけたのが多古町です。千葉なら雪も降らないし、気候が安定していて、農業に適したエリアです。群馬の農家で知り合い、結婚した妻が東京出身なので、妻の実家にも近い。海にも近くて、趣味の海釣りも楽しめそう…等々、総合的に見て、自分の理想に近い農業ができそうだと思い、移住を決断しました。
トラクターを乗りこなし、多品種を生産
現在はどんなお仕事に取り組んでいますか?
就職した“さいとう農園”は、キャベツ、コマツナ、レタス、トウモロコシ、オカヒジキ、ショウガ、ソラマメ、インゲンマメ、トウガラシ、ナスと、収穫期を変え、いろいろな作物を育てています。
スーパーや直売所での直販をメインにしているので、朝は近隣への配送業務からスタート。町内のスーパーなどを中心に回っています。日中の畑作業はトラクター作業が中心。土壌づくりや種まき、肥料の散布などを行います。農園ではタイ人の研修生も働いていますが、トラクターの運転免許を持つのが、自分と社長に限られるので、研修生とは仕事を分担して進めています。トラクターの運転は好きなので、全然苦にはなりませんね。
自慢の美味しさ。ぜひ多くの人に味わってほしい
多古町にきてよかったことは何ですか?
希望通りに通年で野菜が作れ、しかも品種が豊富なことです。露地栽培もハウス栽培も行っているので、いろいろな栽培技術を習得できます。
農園の方針として、何よりも美味しさにこだわっています。だから、スーパーに出荷して、「さいとう農園の野菜は美味しい」「よく売れているよ」と言われるのがうれしいですね。
自分のおすすめは、サニーレタス。さいとう農園一番の人気野菜で、苦みが少なくて、甘みがあります。サラダなど、ぜひ生野菜のままで、味わってほしいと思います。
また、多古町に来てから子どもにも恵まれました。会社組織の農園で働けているので、安定した生活ができていると思います。ですから、今はまだ農業での独立は考えていません。
台風にも見舞われ、自然の威力を実感
苦労していることは何ですか?
会社組織で安定…とはいっても、農業の苦労は、どうしても天候に左右されることです。2019年、千葉県は何度も台風に見舞われました。自分たちの農園でも、ビニールハウスがつぶれたり、停電や断水になったり。ビニールハウスの撤去作業に追われたり、それもまた、自然が身近だからこそと、身をもって感じました。
自分が一歩前に出て、計画~販売など経営全般を見通せる存在へ
これからチャレンジしたいことは何ですか?
今、“さいとう農園”ではスーパーの直販先をどんどん増やしています。対外的な業務は、社長夫妻が行っているので、自分は農作業に専念できるのですが、販路拡大に合わせて、収量も増やせるように考えていきたい。栽培計画なども今は社長と相談しながら進めていますが、今後はより主体的に関わり、計画から収穫まで一貫して見通せるようになりたいと考えています。そして、多古町や成田方面など、この地域の皆さんに、年間を通じて美味しい野菜を届けていきたいと思います。